三月 <卒業>

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三月 <卒業>

校庭では華麗に着飾った子供達が 名残惜しそうに友との別れの時を過ごしていた。 俺はそんな校庭の様子を 六年三組の教室のベランダから眺めていた。 今日は小学校の卒業式の日だった。 一週間前に突然、 校長が失踪して 学校には多少の混乱があったものの、 卒業式は無事に終わった。 六年三組のクラスメイトが 校庭の隅にある砂場に集まっているのが見えた。 見知った顔の中から 俺は一人の少女の姿を探そうとして諦めた。 彼女は三日前から学校を休んでいた。 そして今日、 卒業式の当日も姿を見せていなかった。 「あっくん!」 その時、教室から俺を呼ぶ声がした。
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