狙われたタラッポと田舎のセキュリティー

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狙われたタラッポと田舎のセキュリティー

昨日。母が、上の家の奥様A子さんを誘って、うちの山でタラッポ(タラの芽)採りに勤しんだ。タラッポは天ぷらが一番好きだが、父他界関連の疲れやらストレスやらで胃腸が弱っているので、今回はお浸しにして美味しくいただいた。あとA子さんの夫、A男さんから、田んぼ仕事のついでに採ったセリをいただいたので、これもお浸しにした。 今朝。誰か来たのか、獣でも歩いてるのか、愛犬二匹がワンワンギャンギャン騒ぎ始め、ほどなく母がニヤニヤしながらうちへ入ってきた。 「今、そこの道路に車止まってさ。若い男の人……若くもないか? 二人降りてさ」 愛犬たちはそれで騒いでいたらしい。 「山さ入って、タラッポ採ってた」 母、笑いをこらえているが、それって普通に山菜泥棒なのでは。人んちの山だし。山は採り放題じゃないぞ。持ち主がいるんだからな。 「だからA子さんと、昨日のうちに採ってて良かったなって。日曜だと雨降っかもしれないから、今日採るべって言ってたの。良かったわ」 この時点で山菜泥棒さんたちは、うちの母と、上の奥様と、愛犬二匹にばっちり目撃されているということを学ばなければならない。 「あとね、B子さん(畑の向こうの奥様)も見ててさ」 母の笑いはますます止まらない。 「電話かけてC子さん(下の家の奥様)にでも知らせたんだべな。C男さん(C子さんの夫)がタラッポ取りの格好して上がって来たから、その男の人たち、慌てて車に乗っていなくなったっけ」 うちの山と下の家の山は繋がっているので、下の家の領域で採っていたのだろう。山菜泥棒さんは、B子さんにもばっちり目撃されている上に、瞬時にC子さん、C男さんにも伝達されていることを学ばなければならない。 数日前の日記『楽園は小さくなり、そして広がる』でも書いたが、田舎のセキュリティーを甘くみてはいけない。誰も見ていないなどと思ってもいけない。よそ者の侵入は、ご近所中が見ているのだから。 その日の昼前。トラクターに乗って田んぼから戻ってきた上の家のA男さんが、我が家の庭へ入ってきた。昨日はセリをごちそうさま、と言うすきもなく、A男さんはニッコニコで母に声をかけた。 「おう。今朝の、タラッポ、見たか?」 「んだがらー! 昨日のうちに採ってて良かったってA子さんと語ったのよー!」 山菜泥棒さん、A男さんにもばっちり知られてますよ。 あと私の推測では、Bさん宅とCさん宅の間にある、Dさん宅のご家族にも見られていると思う。
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