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第2話魔木の肉を使ったスープ
魔木、それは今の時代高級な木材として扱われており、食材というよりかは材木という印象が強い。それを床や壁に使用すると夏場は涼しく冬は暖かくなるので中産階級や上流階級に値する貴族のお屋敷にはどこも魔木をふんだんに使っている。
「お嬢様、今日は魔木のお肉を使ったスープです」藍君は魔木から肉が育つのをあたかもこの世界の常識のように言った。
「魔木の肉!?」
「はい、魔木の肉です」彼は爽やかな笑顔でそう答えた。
「美味しいですよ、最近ようやく入手出来るようになって知り合いから譲って貰ったのです。魔木というものはここ数百年で絶滅したり、他の種類の魔木が大繁殖して食べられなくなっていたのですが言織の国の魔術師がまたまた魔木の肉を復活してくれたので食べられるようになったのですよ。」彼は魔導書を使い、魔法陣を描く。そうすると調理場が一瞬にして現れた。調理道具と食材を魔術収納から取り出して料理を始める。
玉ねぎをリズミカルにトントンと切っていく。そしてそれを圧力鍋の元に入れ、同時に水、塩、魔ハーブ、魔キャベツ、魔木の肉を場合によって一口大にカットしてから投入する。
「本来であればここで20分程煮るのですが私の魔道書は有能でして時間短縮をする事が出来るのですよ」彼はそう言って魔導書を開く。
「奥義弐:局所時間操作」時間操作の魔術は並大抵の魔術師では出来ないのに彼はいとも容易く時間操作の魔術を行う。
「お嬢様、完成しましたよ」そう彼は綺麗な笑みを浮かべて私に言った。
鍋から食器へと中身を移し替えてから机の上にことりと置いた。私は椅子に座り、目を輝かせた。
スープは黄金色を放ちキラキラとしており、具材も一つ一つが鮮やかな色を放っていた。
「美味しそう、ではいただくわね」
「はい、どうぞお召し上がりください」味はあっさりとしている。魔木の肉を口に含む。そうすると魔木の肉は口の中で溶けるかのように柔らかくなっていく。
「ほわわ…このお肉とても美味しい」
「喜んでいただけたようでなによりです」
「ありがとう、藍君」
「お褒めくださりありがとうございます。大変嬉しく思います。」
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