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「私が外出する際、遠出する訳で無ければ自分で車を運転させて欲しいのです。それと…出来ればお仕事がしたいと思っております」
一華は隆志に力のこもった眼差しを向けながらその強い思いを口にした。
「外出の件はともかく仕事…だと?お前は東條の娘だ。働く必要がどこにあるというのだ!女は家を守れば良い。お前は理華子の様にはなるなと結婚前から伝えているだろう!?」
「理華子のようにはなるな」
それは一華が妙齢に達した頃からの隆志の口癖だった。
跡継ぎが産めない女は東條家には要らないと言わんばかりに。
「…心得ております。ですが…遼太郎さんが子どもを望んでおりません
」
我関せずと言うように二人の会話を澄ました顔をしながら聞いていた遼太郎は思わぬ飛び火に驚いて口を開いたままこちらを見ていた。
「何だと!?どういう事だ!?遼太郎!」
一華に声を荒らげていた時以上に荒々しく語気を強め、遼太郎を睨みつけている。
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