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三田村さんの1日
元警察庁祓魔課の裏日常 僕悪魔達の挽歌編
勘解由小路降魔と言う恐ろしい男の側には、我等が常に侍っております。
私は、ゲーティアが地獄の爵、シャックスと申します。
「おーい。三田村さん、お茶のお代わりをくれ」
かしこまりました。ご主人様。
ええ。私は三田村でございます。
私の顔には、南方の原始部族が被る、面をつけておりますが、それを剥がした時、私の力は解放されるのです。
盆にティーポットを乗せて、ご主人様のお部屋に向かうと、他の控えている家人達が、私に一礼を向けてくださいました。
「三田橋さん。ボタンをお留めなさい」
地獄の爵の中で、今は唯一の女性悪魔である三田橋さんは、どうにもだらしがないように存じます。
奥様にまた悪影響がなければよいのですが。
元来ゴモリーは月を領域としており、かつて奥様を蚕食した、恐ろしいリリスも月に住まうと言うお話で、ゴモリーと結託し、ご主人様のお命を狙ったこともございました。
その奥様は、ブラウスのボタンをお外しになり、ご主人様と濃密な口づけを交わしていらっしゃいました。
「可愛いマコマコ♡おっぱいをください♡」
この、奥様とヘビーペッティングしていらっしゃるのが、私共の主人にして永遠の王、勘解由小路降魔様でございます。
元々が、どこか尋常でないお坊っちゃまでございましたが、大きくお育ちになり、奥様と出会われ、やがてお子様達に囲まれた時、ご主人様に危機がございました。
禍女の皇と呼ばれた、もう1人の勘解由小路、ご主人様の娘でもあった東雲夜子様に、ご夫妻は揃って殺害されたのでございます。
勿論、私達僕も、揃って敗れ地獄に帰ることになり、悪魔との契約の約定に則り、私達は極上の魂の持ち主である、ご主人様を啄んだのでございます。
まさに、忘恩鳥の如くに。
私は、されどご主人様の魂を守ることを選びました。
かつて、大西洋を流離うクイーン・エーゲ号の甲板上で交わされたお約束事を履行するが為に。
そうなったらな、とりあえずツンでいけよ。俺はお前の手下だ。それでいこう。その方がおや?ってなるから。
今思い出しても汗顔の至り。地獄の私の領地で、ご主人様は私のお抱え音楽家になっておられました。
おや?となったかは兎も角として、ご主人様は私の庇護を離れられ、冥界の最深部、冥王十字稜で、ご主人様は遂に、人の肉体から、大いなる存在に飛躍されたのでございます!
「ああ♡柔らかいおっぱい♡石榴♡紫♡水色の弟か妹を作ろうマコマコ♡マコセルピナ♡」
冥王ハデス。神になられたご主人様は、同じように神になられた奥様に、そんなことを仰っておられました。
「パパとママだいしゅきー!にょーん」
「むーも!むーもパパとママだいしゅきー!にょーんにょーん」
「あらあら。みーは邪魔しないわよ?パパしゅきー」
にょーんと仰っているのは、ご主人様の三つ子の愛娘、石榴様、紫様、そして、水色様で、真っ直ぐ立っていた姫様達の護衛人、護田さんの頭にしがみつき、顔と面の間に小さなお手を突っ込み、顔を引っ張って遊んでおられました。
護田さんは、一切表情を崩さず、姫様達に顔面を弄ばれていたのでございます。
有り体に申し上げて、戦部さんの顔面を弄んでいた、姉君の莉里様を思い出してございます。
おや?三つ子様達の遊び相手の定岡さんは?
ああ。部屋の隅で厳重に梱包され、ズタ袋を被されて放置しておられました。
奥様の口紅でしょうか?赤子特有の幼い筆致で袋に顔が描かれてございます。
「あ~ああー。きゃあ!」
護田さんの肩からロープを使ってターザン移動をされた石榴様が、定岡さんの顔面にお尻から着地を。
悪魔の力か、生きることをほぼ諦めた定岡さんの呻き声が聞こえてございます。
「あ~ああー。どーん!」
ああ。紫様のお膝がよい角度で顎に突き刺さって。
「お姉ちゃん達、あんまり定岡さん苛めちゃ駄目よ?ウフフ。ダサダサどーん!」
素晴らしい蹴りが突き刺さり、おご!っと定岡さんの声が。
私は、ご主人様にお茶のお代わりをサーブし、一礼をして去りましてございます。
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