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「まあね」あたしは曖昧に答えた。別に松下君と仲良く作業したいなんて思ってない。関わらなくて済むならそうしたい。松下君がちゃんとしようとしてるのはまあ、いいことなんだけど、やっぱりちょっと変な人だからあんまり絡みたくないというか。
で、放課後。図書室に行くと松下君と馬場が小競り合いしてた。
「修学旅行係の仕事があるのもわかるが、図書委員会に入ったからにはこっちの仕事もやってもらわないと困る」
「図書委員の仕事は馬場君にもできますよね、修学旅行係の方は俺にしかできないです」
「いやまあ、そうだけどさあ」
馬場、丸め込まれてる。あたしが呆れながら眺めてると松下君があたしの存在に気付いた。
「三浦さん丁度良い所に来ました。本の廃棄作業を手伝ってくれませんか」
「三浦さんに頼むのかよ」突っ込む馬場をよそに松下君が続ける。
「先日新しい旅行ガイドを受け入れたので古いものを廃棄するそうです。小口印を黒いペンで塗り潰して紐で括ってください。ゴミ捨て場までは俺と馬場君が運びます。で、その作業をしながらしおりを作るのに使えそうな旅行ガイドがあれば抜いておいてくれると助かります」
「小口って何?」
「本の背表紙以外の三辺のことです」
「はあ、わかった。ハンコ押してある所塗ればいいのね」
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