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「沙耶はどうなの?」絵梨が言った。「スポーツコースの男子また振ったんでしょ」
「萩野先輩から聞いたの?」苦笑いする沙耶。絵梨が美人系なら、沙耶は可愛い系。ちっちゃくて可愛くてモテる。いいなあ。あたしもあんな顔になりたい。ちょっと輪郭は丸いけど、それも愛嬌だよね、愛嬌。
「今度誰に告られるかみんなで賭けようか」悠が言った。「うちは松下君だと思う」
「え、なんで」あたしは思わず口を開いた。
「だっていつも沙耶のこと見てるよ」
「そうかなあ」沙耶はちらりと窓の方を見た。窓際から2列目の一番後ろの席。机に突っ伏して寝てる男子。これが窓際の席だったら主人公っぽいのに、惜しいよなあ。
「ねえ結菜は何もないの?」と悠が言いかけたその時、ちょうど教室のドアが開いて担任の先生が入ってきた。本間先生。生徒からは本間ちゃんって呼ばれてる。まだ昼休みなのにどうしたんだろう。
「三浦、ちょっと」
「え、あたし?」自分を指差しながら言うと本間ちゃんが頷く。あたしは立ち上がって廊下に出た。
ま、悠から恋バナ振られる所だったから都合が良かった。ラッキー。でも何の用だろ。この前の頭髪検査もパスしたしテストの成績も下がってないし。本間ちゃんは両腕を組んであたしを見下ろした。
「三浦、修学旅行係だべ」
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