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「ナキリー、起きて、おーい」
「ん……ヤバっ! 学校遅れる!」
誰かが自分を起こす声が聞こえたと勢いよく自分の座っていた席から立ち上がるナキリ。
「うおっ! びっくりした大丈夫?」
「あれ? ここは……」
「学校だけど」
(ああ、そうだった)
時間になるのを待っていたナキリは、いつのまにか眠ってしまったらしく、朝練から戻ってきたリンが起こしてくれていたのだ。
立ち上がった椅子にもう一度ゆっくり座ると寝ぼけ眼で教室を見渡す。ほとんどの生徒が登校しており教室はざわざわと賑わっていた。時計を見ると朝読書の時間の5分前だった。
「いつもだったら今ぐらいの時間に慌てて教室に入ってくるのに、朝練終わって教室来たらナキリが寝てるから驚いたよ。やめてよね今日傘持ってきてないんだから」
「……ちょっとそれ、どういう意味〜」
リンの言葉に不機嫌になる。両親といい幼馴染といい一体自分のことをなんだと思っているんだとナキリは朝出会った男子生徒と同じように眉間にしわを寄せる。
そんなことよりリンに聞きたいことがあったことを思い出したナキリはもう一度席から立ち上がると、リンと目線を合わせる。
ペリコロはミッションは一人で解けって言っていたが、アプリを見せるぐらい問題ないだろうと思ったナキリはポケットに入っていたポケホを取り出しホーム画面をリンに見せた。
「このアプリ勝手に入れたでしょ!」
「どれよ?」
「このフリーデンってアプリ!」
「何? なんかのギャグ? そんなアプリ入ってないじゃん」
ナキリはリンの言葉にまた険しい顔をする。自分の言葉が間違っていないかとポケホの画面を自身の方に向けてホーム画面をチェックする。確かにフリーデンという文字の上に真っ黒な色のアイコンが表示されている。ふざけているのかと思ったが、リンの顔を不思議そうにナキリを見ているだけでとぼけているようには見えない。どうやら嘘をついているわけではないようだ。
ナキリにしか見えないなんて非現実的なことあり得ない。でも昨日の奇妙な現象が偶然ではないとしたら、こんな事もあり得てしまうのかもしれないと少し納得してしまう。
「ごめん、なんでもないや……私の勘違いだった」
「もー、寝ぼけてないでシャキッとしなさいよね」
不思議なっているリンに笑いながら謝るとちょうどタイミングよくチャイムがなり、担任が教室に入ってきたため話はそこで終わった。
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