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転入生
「本日からこのクラスでお世話になるジェリック・グフィースと申します」
ニコッと微笑めば女子からの歓声が教室中に響く。「席は○○の隣だ」と言われて少し離れた席に座る。ホントに来たんだ……。言った次の日から来るとか行動力スゴすぎ。
隣に座っているレオンは硬直してポロッとペンを落とした。やっぱりこうなるよね。僕もこんなにすぐ来るとは思わなかった。それからハッと我に返って、ムスッと顔を逸らして窓の外を見た。
それから授業が始まったけど全く集中していなかったみたい。窓際でスヤスヤと寝息を立てて寝ていた。その席日向ぼっこには丁度いいもんね。
終わりのチャイムが鳴ると、ムクッと起き上がって、僕のところに来た。
「今日は気分が良くない」
う"ぅ〜と喉を鳴らして、後ろから抱きつく。
「そうなの?今日弟さん来てたよね?」
「あぁ、アイツ好きじゃねぇんだよ」
僕もあんまり好きじゃないかな……。同じ考えに少し笑ってしまう。グルグルと喉を鳴らして首に顔を擦り付けられる。猫みたいで可愛い。大きな猫に懐かれてるみたいで嬉しくて、胸の奥がキュンとした。僕がひっそり癒されているとジェリックがカツカツと靴音を立てて大股でこっちに来た。
「レオン兄様、可愛い弟の婚約者に手出しするのは宜しくないのでは?」
ニコッと微笑んで、レオンはピクリと耳を動かして硬直した。
「……は?婚約者って……お前が?」
尻尾をバタバタと大きく動かしている。レオンなんで怒ってるんだろ。よく分からなくてキョトンと首を傾げた。
「つか、どこが可愛いんだよ」
チッと舌打ちをして僕を抱きしめる腕に力が籠った。
「……あのねレオン、後でちゃんと説明するから」
「……あぁ」
まだムスッとしたままだけど納得してくれたみたい。僕の項をスンスンと嗅いでからベロッと舐めた。
「ひぅっ…?!」
どこ舐めてるの?!変な声出ちゃったじゃん!ムゥッと頬をふくらませて睨みつけると、ククッと喉の奥で笑った。
「面白ぇ反応するよな」
それを見ていたジェリックはギラリと目を光らせてレオンを据えた。
「レオン兄様、いい加減にしていただけますか?弟の婚約者に抱きつくのも有り得ませんが、項を舐めるなど以ての外。時期国王として有り得ません」
抱きついたりするのダメなの?項って舐めちゃダメなの?まぁ舐めるのは変だけどそんなに怒ることなのかなぁ。
「モミジ行こう」
ジェリックに椅子から立ち上がらされて、腕を引かれた。
「あっ、待って!……レオン放課後ここで待ってて?」
ジェリックは煩そうだからこっそり伝えた。それから直ぐにバイバイって手を振った。
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