お相手

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お相手

短髪でサラリとした髪。肌は黄色でアジアよりの色をしている。レオンとは真逆で、爽やかな笑顔が特徴的。 「お初お目にかかります。ジェリック・グフィースと申します」 すごく丁寧な挨拶とお辞儀に慌てて僕も立ち上がる。 「初めましてっ!モミジ・キリリアと申します」 元気よく挨拶をしてペコリと頭を下げた。 「美しいお方……」 トロリと甘い顔をして、ほぅっと息を吐く。 「お方?僕そんなにすごい人じゃないし貴方の方が地位は上なはずです」 「いえ、美しさはこの世で1番です」 言うと、真剣な顔をしてお父様の方を向いた。 「お父様、モミジを私にください」 お父様もグフィースさんをじーっと見てそれから、がっはっはと大きな声で笑った。 「分かった、貴方にモミジを譲ろう。だが……」 「?」 「モミジは俺の大事な息子だ。泣かせるようなことがあったら……容赦しないぞ」 据えたお父様の目にピシッと固まってしまう。けれどグフィースさんは真剣な眼差しで返した。 「勿論です。大切にします」 なんだか話がまとまったみたいだけど僕の意見は?漫画とかアニメでは貴族のお見合いは親が決めるって聞いた。……そういうこと?僕の話は聞いてくれないの? 「モミジは美しい。その為危険です。なので私もモミジの学園に転入します」 「……え、グフィースさん、気にしないで大丈夫だよ?」 そばにはレオンという友達がいてくれるし。心配はないんだけど。 「モミジ」 僕の方に振り返って両手を包まれた。 「私の事はグフィースではなくジェリックと呼んで欲しい」 「……分かった」 「ありがとう。愛してるよ」 言って、頬にチュッとキスされた。ボフッと火がついたように顔が熱くなる。キ、キ、キスされたっ!お母様以外の頬のキスすら初めて。 「キ、キスっ……ー〜ッ!」 「あぁ、なんて可愛い顔をするんだ。そんな顔他の誰にも見せてはいけないよ」 この人苦手!うぅ、どうしよ……。お父様助けてっ!お父様に目線をやると苦笑い。こんな甘々な人だと想像してなかったんだと思う。 こんな人が僕の学校に転入?これからどうなるの?と思った所でふと気になることを聞いてみることにした。 「あ、あの……」 「ん?なんだい?」 ニコニコと爽やかな笑顔で聞いてくる。 「転入って……レオンの弟さんですよね……?入れないと思うんですけど……」 言うと、丸い耳をピクリと動かす。 「今レオン、と言った?」 「はい」 「兄様とは親しいの?」 「はい、今日仲良くなりました!」 「……そうか。……モミジ、私を嫉妬させてはダメだよ」 「…??すみません……?」 よく分からないけれどあまり機嫌が言い訳じゃなさそうだから謝っておいた。 くぅんと勝手に鼻がなる。耳も尻尾も垂れて、そっと下から見上げるとニコッと微笑んで許してくれた。 「いい子。……さて、話は戻るけど私達王子は三人兄弟。1番上がレオン兄様、次がシープ兄様、最後が私。そして私達は3つ子なんだ。違う学園に通ってはいるが、同じ歳だから転入も出来るって訳だ」 「えぇっ!そうなんですか?3つ子って凄いですね!」 目をキラキラ輝かせると、ふふん、と自慢げに話しだした。 「まぁ、極稀だからな。でも3つ子だから同じものも好きだし同じものも嫌い。……顔は全然違うけどね?」 レオンとジェリックにはあった。だからいつかシープさんにも会いたいなぁ……。どんな人なんだろうとワクワクした。
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