愛しの相手 レオンside

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愛しの相手 レオンside

俺の弟がこの学園に転入してきた。来るはずもないヤツが来た。嫌な予感しかなかった。何となく気が重かった。授業中も集中出来なくて昼寝した。終わりのチャイムがなって直ぐにモミジの所へ行った。後ろから抱きつくとモミジからは誰か分からない人の匂いがした。うぜぇ、俺のだろ。なんかすげぇムカムカしたから首元に匂いを擦りつけてやった。これがマーキングだってチビでも分かる。けど、モミジは何か癒されるように微笑んだ。マーキング知らないのか?俺の匂いを擦り付けた所で殺気を放ったジェリックがこっちに向かってきた。何かと思えば「私の婚約者」だと言った。……そんな訳ない。モミジは俺のものだろ?すげぇ負けた気分だった。弟に愛しの人を取られたなんてどんなにショックなことか。アイツだけには絶対渡さねぇ。抱きしめていた腕に自然と力が籠る。モミジは俺の感情を悟ったのか、俺を見上げて少し困ったような愛らしい顔で言った。 「……あのねレオン、後でちゃんと説明するから」 少しオドオドしてるのも可愛い。ひっそりと心の中で癒される。それでも2人の婚約関係なんて認めたくなかった。でもモミジの言う事だ。きっと何かあるんだろ。 俺以外と付き合うなんて許さねぇぞ。 項をスンスンと嗅ぐ。あー、まだあいつの臭いがする。俺は満足出来なくて項を舐めた。項を舐めるのは噛む前。つまり番になる人しか触れない場所だ。可愛い声を出したし、さすがに分かるだろと思ったけどそれでも気づかない。ジェリックは勿論すぐにわかった。意地悪をして笑う俺を見て更に怒った。怒りで唇をワナワナ震わせた。なんか説教してきたけど関係ない。大切なものを奪われたら奪い返すだけだ。 ジェリックは突然モミジ腕を引っ張った。もうここにはいたくなかったらしい。無理やり引っ張るからモミジも困惑。それから待ってと叫んだ。そしてジェリックには聞こえないように放課後ここに残ってろって言った。何か分かんねぇけどモミジと2人で会えるなら気にしない。 2人が行ったあとは1人ぼーっとした。なんで俺モミジが好きなんだ?初めて会った時から好きだった。一目惚れ?モミジは童顔で綺麗で可愛い顔をしているから老若男女関係なく引きつける。モミジは昨日から様子がおかしいのも気になる。疲れてるなら何とかしてぇけど俺に出来ることは無い気がする。 今思えば片思いが辛いと思ったことはあんまりねぇ。けど今は胸がチクチクして苦しい。この感情が何かは分かる。モミジは俺の事好きになってくれんのか? 頭がぐちゃぐちゃになるくらいすげぇ考えた。モミジは俺に振り向いてくれるのか、まじでアイツのこと好きになんのか? 恋は人を臆病にする。 俺は俺らしくいけばいい。笑顔とか言葉、好きになってもらえるようなウソは要らねぇ。ありのままの俺を好きになってくれる日を待つことにした。
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