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「ありきたりなプロポーズ」
そんな風に、もう今日は一日一緒にダラダラゴロゴロしててもいいかなあなんて俺が思っていたら、彼女はそれだけで満足ってわけでもなかったらしくて、はじめのセリフを俺に言ってきたわけだ。
「ねえ、今からコンビニいかない?」
「…寒くね?」
「いやだ?」
「嫌じゃない」
せっかく世の中の恋人たちはセックスしているような時間帯だ。
俺たちだってそれなりの夜を過ごすべきだろう。
昨夜だって、今夜だって、こんな時間帯には、恋人たちはみんなそんなことしてんだろ、どうせ。
それなのに俺ときたらゴムの準備を怠っていた。
マジでぬかった。
っつーか普通にもうないの忘れてた。
そんなわけで大概俺が、彼女の「コンビニいかない?」に、「あるからいいよ」、と答えられなかった場合は、どんなに寒かろうが暑かろうが昼間だろうが夜中だろうが一緒にコンビニまでデート、と決まっている。
だって俺が彼女からのお誘い断るわけないじゃん。そんな愚かなことするわけないじゃん。
それに俺は、コンビニまでの道をふたりきりでプラプラ歩くだけって言うのも、けっこう好きだったりするのだ。
「今日あったかいじゃん」
「そうなんだよなー。なんかする?」
「っつーか、もうすぐ日付変わるし」
「マジか。俺、誕生日じゃん」
家から一番近いコンビニまでは、街灯の明かりだけが続く、とくに街中までは出ないでたどり着ける道が続いている。
そこをふたり並んでただなんとなく適当な話をしながら歩く。
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