「ありきたりなプロポーズ」

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「ありきたりなプロポーズ」

 俺の彼女は照れ屋だ。  照れ屋と言うか必要なことでもちゃんと言わないって言うか。  所謂察してちゃんなのかと思う。  でも、何かしらでどういうことを考えてるのかわかったりする。  そのくらいになるほどにはふたりでいた期間はそれなりに長いし、お互いのことを知っているんじゃないかとは思う。  って言うかそんな難しい話じゃなくて。  ぶっちゃけ、彼女はセックスをしたい時、コンビニ行かない?って俺に言ってきて、一緒にコンビニまでの短い道のりをデートして、ゴム買って帰る。  俺さっき、何かしらでどういうことを考えてるのかわかったりする、とか言ったけど、これはわかりやすすぎてもはや男らしいと思う。潔いし、わかりやすすぎて何も隠してない。  よくよく考えたら全然照れ屋でもねえな、って気がしてきた。  そんなわけで、俺と彼女は今まさに深夜最寄りのコンビニに向かって一緒に歩いている。  風はないけど寒いし、手でも繋げれば俺の心はちょっとあったまるんだけど、まあ嫌がるだろうな。  そういう女なんだ、こいつは。
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