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ペリー二の初夜の失敗は驚くほど広まっていませんでした。
というのも、皇帝が新しい側室と初夜を過ごすということは無い、とほとんどの人が予想していたからです。
ペリー二は明日には笑いものになる、と恐れてお昼を過ぎてもベッドから動こうとしませんでしたが、予想に反して誰も騒いでいないのです。
こっそりとマーガレットを呼び出し、何か周りが噂していないかを確かめました。実を言うとマーガレットもペリー二令嬢ならもしかしたら…という期待こそありましたが、皇帝が手を出さないだろうということは予想していたのです。
「ねえ、何か宮中が騒がしいことはない?私を馬鹿にしたものがいたら今すぐ連れてきて」
「いえ、誰も騒いでおりませんよ。噂も聞こえておりません」
「陛下が側室に手を出さないのに騒がないのもおかしいと思わない?どうなってるの?」
ペリー二は怪訝な顔をします。
「詳しくは分かりませんが、皇帝陛下が意気地無しなのは周知の事実なのかもしれませんね。こんなに可愛らしいお嬢様を前にして眠りにつくとは…男とは思えません」
誰も聞いていないことを良いことに言いたい放題です。とは言え、こんなことになるなら何故陛下は側室を迎えるの?とペリー二の気は収まりません。初夜に手を出さないだけ?2日目以降は?疑問がグルグルと湧いてきて顔を顰めます。
「そんなことより!せっかくですし宮殿を探検しませんか?とても広いので3日あっても足りないぐらいですよ!」
やけにテンションの高いマーガレットを横目に、ペリー二もそれもそうね、と頷き、宮廷散策に出かけるのでした。
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