お披露目

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陛下の手を取って会場の扉まで向かいます。 既に他の来賓の貴族たちや、後宮の女性たちは揃っており、思い思いに談笑を楽しんでいるようです。 中から賑やかな声が聞こえてきて、胸を撫で下ろします。 「皇后?どうかしたのかい?」 普段より顔色が良くない気がするけど…と陛下が顔を覗きこみます。 「あ、いいえ。今回はいつもと少し違うので緊張してしまったのかもしれませんわ」 さあ、行きましょう、と微笑むと陛下も安心したように前を向きます。 「皇帝陛下と皇后陛下のご入場です」 扉の前に立つ者が声をあげると、一斉に視線がこちらへ向けられます。 私たちは広間の真ん中に敷かれているレッドカーペットの上を2人で手を取りながら進みます。 「皇后様は今日も美しいわ」「陛下は気合いが入っていないか?」 という声が漏れ聞こえ、私は思わず笑います。 「やはり私は気合いが入ってるように見えているようだが?」 陛下が繋いだ手を一際強く握ります。 「麗しいということですよ」 「その割には貴方も笑っていましたね?」 他愛ない会話をしながら進む私たちは、とても相性の良い夫婦に見えているはずです。 今日この直後に、新しい側室を迎えなければならないとは到底思えないでしょう。
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