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正直に言うと、私と陛下はお互いに信頼し合う良いパートナーではあるのですが、恋愛結婚では無いので側室を迎えることには、あまり大きな抵抗は無いのです。
そうは言っても、私の子どものことを考えないということではありません。
自分の子どもが出来たらどれほど可愛いことか、とは思いますが、それはまた別の話なのです。
さて、祝祭の当日は皇宮中が準備に追われてバタバタしています。宮中の飾り付けから夜に行われるお披露目会のための食事や音楽などの最終調整に大忙しです。
そして、肝心の新しい側室を迎える準備は代々、同じ後宮の女性が担うと決まっています。
新しく後宮に加わる、帝国の繁栄を担う女性を温かく向かい入れる器量が試されるのです。
とは言っても、さすがに皇后である私が、自らの夫である皇帝に嫁いでくる女性を迎え入れる…というほど残酷なことは無いので、私は特に何もすることはありません。
側室を迎える準備は、基本的には皇妃が取り仕切っています。
「ペリー二令嬢が到着したようです」
私の侍女であるサラが報告します。
「そう、無事に着いたのね」
そうです、この女性こそ私の平穏を脅かすかも知れない新しい側室、ペリー二・モートリーニ伯爵令嬢なのです。
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