初夜

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ペリー二一行が宮中を散策していると一際大きな宮殿が見えました。見るからに豪華で美しくトパーズ宮とは比べ物になりません。 「あの宮殿には誰が住んでるの?皇后?」 ペリー二が尋ねると、マーガレットではなく陛下が選んだ侍女のアンが答えます。 「皇后陛下のお住まいはもっと西にあるサファイア宮です。ここはルビー宮といって皇妃様が暮らされているところですよ」 皇妃とはいえ側室がこんな所に?とペリー二は疑問に思います。 「へぇ…皇妃でこんなに豪華ということは皇后の宮殿はもっと大きいの?」 「そうですね…多少皇后陛下の宮殿の方が大きくはありますが、豪華さで言うと差程変わらないでしょう」 「どうしてよ?仮にも正妻と側室じゃない」 ペリー二の言葉には棘が含まれます。皇后宮が大きいのは予想していたことでしたが、側室の宮殿がこんなに大きいこと、そして明らかに自分のものと差があることに苛立ちが隠せません。ペリー二はいつも伯爵家で1番広く、豪華で、日当たりの良い部屋を用意されていました。伯爵もトルドーもかなり甘やかしていたので、手に入らないものなど無かったのです。 「それはですね…」 アンは昔から皇宮仕えをしているので、知識が豊富です。ペリー二付きの侍女として伯爵家から付いてきたマーガレットよりもここでは役に立ちました。 本題のルビー宮ですが、ここは元々、先の皇后が住む宮殿でした。というのも、初代から使用されていたのはサファイア宮なのですが、途中、「過去の女性と同じものを使用したくない」と駄々をこねた皇后がいて、彼女を寵愛していた時の皇帝が特別に、と作らせたのがルビー宮でした。そのため、サファイア宮に負けず劣らず豪華で大きな宮殿なのです。 そうは言っても、その後の皇后たちは由緒正しいサファイア宮を好んだので、ルビー宮は暫く使われていませんでした。その上、この宮殿を与えると皇后の機嫌を損ねるのは目に見えていますし、その家門や派閥に莫大な権力をもたらすことになります。それを恐れた皇帝たちは、この宮殿を一切使用しませんでしたが、陛下は皇妃に与えたのです。
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