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しかし、こんな最近の流れに逆風を吹かせる家門が現れました。
なんと、自らの娘を皇帝へ献上する、と手を挙げたのです。
しかもそれが、伯爵家だと言うのだから、これまたびっくり。伯爵家の令嬢であれば上手くいけば皇帝の親戚や公爵家などの一流貴族に嫁ぐことさえ出来るほどの家柄です。
「どうか、私の自慢の娘を娶ってくださいませ。必ず退屈はさせませんよ」
自信満々にモートリーニ伯爵は述べます。
「自分の娘を喜んで側室へ送るなんてどうかしている。余程、娘のことが気に入らないのか?」
と周囲は噂します。
伯爵がこうも自信満々に話すのには理由がありました。
ペリー二は母親譲りで目が大きく、愛嬌があり、とても可愛らしい令嬢でした。この子なら女性としての天下を取れるのでは、と思った伯爵は、ペリー二が幼い頃からもったいぶって社交界に進出にさせず、伯爵家という鳥籠の中で大事に大事に育ててきたのです。
美しい姿を社交界でお披露目させ、並の貴族から声がかかったのでは堪りません。
娘を世に見せるタイミングを自分で選べるよう、囲いこんでしまいました。
その結果、とても優美な姿にペリー二は成長したのですが、自分より地位の高い令嬢と交流したこともなく、常に周りではメイドや騎士などお付きの者が「ペリー二様こそ皇后に相応しい。天下一の女性です」と持ち上げます。
世間知らずの少女が、「自分こそが最も素晴らしい女性だ」と思うことは何もおかしなことではなく、その可愛らしい外見とは裏腹にかなり勝気で怖いもの知らずに育っていたのです。
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