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「それにしても皇帝陛下は迎えには来ないのですか?伯爵家には私を一目見ようと男たちが集まっていたというのに……」
馬車から外を眺めながらペリー二が尋ねます。
自分という美しい女性が嫁ぐというのであれば、いてもたってもいられず、自ら足を運んでもおかしくないのでは?と純粋な疑問を口にします。
その様子に伯爵は少し疲れたような声色で
「いいですか、ペリー二。貴方は確かに最高の女性ですが、陛下はまだその素晴らしさを見ていないのです。」
と語り掛けます。
「お前がこの国最高の地位を手にすることは、この父も全く疑っていませんが今はその座に別の方が座っています。あちらの家門も決して悪くない家柄なので、最初のうちは様子を伺いなさい」
と、私の実家である公爵家を相手にとって、「悪くない家柄」と伯爵が言うのです。
この会話が目の前で繰り広げられていたら、即座に位が下げられてもおかしくない程に私の家門とは差がありますが、そのことを忘れているのか伯爵は強気です。
「分かったわ、お父様」
ペリーニも何の疑いもなくその言葉に笑顔を見せるのでした。
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