お披露目

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お披露目

そして時刻は過ぎてついに舞踏会の時刻がやってきました。 皇后である私も、今日という日は後宮の女性以外にはとてもめでたい日なので、少し明るめのカラーのドレスを着用します。 私は特に目立つように、などという指示はしないものの、私の侍女たちは「皇后様が1番美しいことを知らしめる機会ですから」と無意識に華やかに着飾らせるのです。 侍女たちからの好意は信頼の証ですから、特に咎めることは無く彼女たちに身を任せます。 そうしている内に、部屋の扉がコンコンと叩かれ、外で待機している騎士のフェリックスから声がかけられます。 「皇帝陛下がお迎えに来られました。お通ししてもよろしいですか?」 新しい側室を迎える日であっても、皇帝と皇后は揃って入場するのです。 「ええ、お通しして」 私が声をかけると、扉が開けられ、これまた着飾った陛下が部屋に入ってこられました。 「あら、陛下。今夜もとても素敵ですね」 美しい黄金の髪と広大な海のような青い瞳を引き立たせる、白を基調とした衣装。その立ち姿はとても美しく、私が何の知識も持たない幼子であったとしても彼が皇帝であることは分かったでしょう。 「皇后にそう言われると自信がつくよ。ただ、少し華美すぎないか?浮かれてるように思われないか心配だ」 この心配は誰に向けてのものでしょうか。 皇后である私か、来賓の方々か、もしくは最愛の皇妃か… いずれにせよ、陛下が新しい側室をあまり快く思っていないことは明らかでした。 「いいえ、とんでもない。陛下は寝巻き姿でも麗しいのですから、正装で目立ってしまうのはどうしようもないことですよ」 私が笑うと陛下もやっと笑顔を見せました。 「まあ、貴方がそんなに美しいのだからこれぐらいでちょうど良かったかもしれないね」 貴方の侍女のセンスは素晴らしいな、と陛下が褒めると近くにいたサラも得意気に微笑みます。 「では、行こうか」 陛下からそっと手が差し伸べられました。
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