繁栄の祝祭

1/2
6人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ

繁栄の祝祭

ここはインペリウム大帝国。西大陸の中で最も有力な国です。私はこの帝国の皇帝、シェーン・アルベルトの妻であり、この国の皇后のステイシア・エヴァンスと申します。大帝国の皇后というと、確かに苦労も多いものですが、陛下が即位してからというもの、私は特に大きな問題もなく、皇后として平穏な日々を送ることが出来ています。 しかし、ここに来て私の平穏な日々をも奪うかもしれない出来事が起ころうとしていました。 というのも、今日は「繁栄の祝祭」と呼ばれる年に1度行われる盛大な祝祭の日なのです。 この日は、帝国の初代皇帝が寵愛していた妻に第1子が誕生した日であり、帝国の今後の繁栄を祝ったのが始まりでした。 この日はとても縁起が良いとされており、国民の中でもこの祝祭に合わせてプロポーズをする、というのは大変多いものです。 帝国をあげての盛大なお祭りなので、皇室はもちろん、貴族や平民たちも関係なく着飾り、ご馳走を用意し、この日を楽しみにしているのです。 ただ、皇帝を取り巻く女性には少し違った事情がありました。 「繁栄の祝祭」とは文字通り、帝国の繁栄を祝うものです。確かに、農作や経済というものもありますが、帝国の繁栄に欠かせないもの、それは世継ぎなのです。 どれだけ今の世の中が安定し、泰平の世を築いたとしても世継ぎがいなければ帝国は滅びてしまいます。 そのため、皇室では帝国の正式な跡継ぎである皇太子が決まるまで、この祝祭の日に新たな側室を毎年迎えるのです。
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!