6. 顧問の攻略法

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6. 顧問の攻略法

 ーー 企画室 ーー  2歳年上の先輩OL《 金本 さやか 》。 いくら食べても太らないという羨ましい体質らしく、とにかく細い。 私服もオシャレでシンプルなラインの黒髪ボブ スタイルに、ぱっつん前髪がよく似合う。 「金本さん、 昨日頼んだ書類一式はできましたか」 「そこにあります」 「金本さん、すみませんが、 このデータを全営業所に送ってもらえますか」 「はい」 「金本さん、13時から来客があるので、 申し訳ないですが、応接室にお茶をお願いできますか」 「......ちっ」 ーー 経理部 ーー 12:00 オフィスの電気が一部消されるのを合図に、 ほとんどの社員がお昼の休憩を取る。 私もデスク回りを片付けていると、 内線が鳴った。 「葉月さん! 顧問っ!」 この内線電話に、 異常なほど早く反応するのが経理部長。 社内では、ほとんどの人がチャット形式でやり取りを行っているが、顧問だけはいまだに昔ながらの内線電話を使用する。 「はい、経理部。葉月です」 「あー、葉月さん。 こちらまでちょっと来られますか?」 「はい。すぐに伺います」 顧問に呼び出された私は、すぐに休憩に入れる準備をして、顧問室に向かった。 顧問のスケジュールは、 ほとんど頭に入っている。 昼前に来客があったので、おそらく手土産で 貰ったお菓子を渡されるのだろう。 今日はなんだろうな。 ―― トントントン ―― 「どうぞ」 「失礼いたします」 「休憩前に悪いね。○○さんからお土産を 貰ったから女の子たちで分けて頂きなさい」 そう言って、いつも糊のきいたワイシャツに 丁寧に手入れされたオシャレなスーツを着こなす顧問は、嬉しそうに老舗和菓子店の包装紙に包まれたお菓子をくれた。 ◎ おじいちゃん顧問の攻略法その1 ―― 素直に喜びを表現する ―― 若い子が自分のおかげで、 無邪気に喜ぶ姿を見るが大好き。 「わぁ、ありがとうございます!」 ◎ おじいちゃん顧問の攻略法その2 ―― さりげない気遣い ―― 自分のことを考えてくれたと感じるだけで 大満足。 「顧問もお一つ、いかがですか?」 「私はいいよ。私の分は君が食べなさい」 ◎ おじいちゃん顧問の攻略法その3 ―― 笑顔で癒す ―― 目を合わせて優しく微笑まれるだけで、 ご褒美をもらった感覚に。 目元と口元を意識して、笑顔で退室。 扉はゆっくりと丁寧に閉める。 慣れてしまえば、簡単なことだ。 〈 これは、きっと最中ね。 これ、美味しいから好き~ 〉
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