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今日は高校の課外学習で行なう、保育実習の日。
南幼稚園の年中さん・きいろ組にやってきた史織は、斜め下からの熱心な視線と圧を、ひしひしと感じずにはいられなかった――…
五歳になったばかりのミクヤは、輝く瞳で、史織を見上げていた。
気だるげに高校の班員と話す仕草、根元が褪せた茶髪。ついでに、エプロンとパーカーに隠れている、豊かな胸も。
「うわーっ、すっげ、すげえええ!!」
趣味のライダー遊びよろしく、正面から飛びついていた。
「わあっ、なんだよお前。急にくっついて……は、離れろっての」
当然ながら、急な出来事に口を間誤付かせた史織は、赤面している。
兄弟もいないし、幼児とはいえ異性に抱きつかれた経験が、まるでなかった。
「おねえさん、おなまえは?!」
「し、史織。高梨史織だけど」
「しおりちゃん、かわいいねぇ」
「かわい……?! どう見てもお前の方がかわいいだろ」
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