信一 幼稚園・高校生

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 背中に汗びっしょりかいて、言われた通りボタン押しまくって、間違えても軽く「初めからね」って、出来ない俺にイライラしない信ちゃんが、大人に見えた。  帰る時「盆踊りって知っているか」って聞かれて、音で溢れているおれの頭では考えられなくて「知らない」と答えたら、 「熱帯雨林の奥とか外国の山奥の部族の踊りの日本版だよ、おれ、あの音好きなんだ」と信ちゃんが言っていた。 俺の事ミミって呼ぶのも信ちゃんだけだ、だいぶ違う世界行ってんなぁと帰りながら思った。  ミミに手伝って貰い曲は出来た。後は絵だ。 簡単に言うとCDの表紙と曲とセットで発表する感じで、殆どの人は自分で絵を描いて、まるで世間で認められた芸術家気取りがわかる。  おれは、二兎を追う者は一兎をも得ずと頭に浮かぶが、自分で描く事にした。  進路も決める時期だった、 本当は一日中好きな曲を作っていたい、そんな事、無理だよなと自分に言った、
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