信一 再び維士と会えた

1/23
前へ
/287ページ
次へ

信一 再び維士と会えた

 2010年  信一  24歳におれはなっていた。  3年前ドクから、東京で会うはずのメールが届かなかった。  あの時おれは浮かれていた。ドクと一緒にいる事に有頂天で、バックは無意識に持って無意識に何処かに置いた。何処に置いたか、全く想い出せない。次の日の朝、社長がわざわざおれの家に来て起こされて、携帯がない事、絵がない事に気づきいた。貰った絵と携帯電話を何処かに置き忘れた。  直ぐ、ドクの家に行くべきだった。 甘く考えた、連絡が取れない恐怖心に一時は陥ったが、実家を知っているという安心感も僅かにあった。当時はおれは、ドクの岩手の家で住所を知れると思ってた。叶わなかった。ドクのお母さんに断られた。  その後からの、地獄の日々の始まりだった。その前の会えない時期も苦しかったが、比べようがないくらい苦しい。お互い分かり合え、近くなった後からの離れはおれには辛い。    当時の事、思い出すと、全ておれだ。 ドクの気持ちとか、心配させたとか、何にも考えない、初めてドクと会った時のドクの恐怖心とかも、まったく気づかない、言われなければ一生知らない。  あぁ、このまま年を重ねていくのか、小学生のままだな。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加