信一 再び維士と会えた

22/23
前へ
/287ページ
次へ
 ドクを思い出した。 (孤独が好きな奴が、スポットライトの真ん中で、歌って踊れるわけないだろうボケっ、 おれは目立ちたがりやで、頭の中空っぽのシンガーソングライタープラス芸術家だ)って心の中で自虐で毒付いた。  誰もおれに近づかない、教えてくれない、ふっとドクならおれになんて言うだろうと考えた。 (僕は何もいらない、食べる事が出来て、安心する家が在れば良い、僕はお母さんがいたから良かった。親のいない子供達の施設に寄付しましょう、その為に働きましょう) こんな感じに言うのかあ、 (頑張りましょ)は、ドクなら入れないなぁ 涙が出てきた。  最後に、(休みの日は同じ場所の、散歩が好きなようだ、探し人がいるのだろうか)この文章を入れたい為に、出版社はおれの記事載せてくれたんだなと思った。  声を出して「目にゴミ入った」と、顔色の悪いおれが言っても、誰も返してこなかった。
/287ページ

最初のコメントを投稿しよう!

48人が本棚に入れています
本棚に追加