維士 大学4年生

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 卒業式の後、東京駅新幹線入口で、大ちゃんと待ち合わせた。皆んなが僕を見てる、声をかけてくる人もいるが、時間を気にする場所のせいか、しつこく纏わりつく人はいなかった、前程、嫌な感じではなかった、(あれ、僕変わったと思った)  ゾロゾロと賑やかな、生放送中らしい芸能人一行が近づいてきたので、見ない、聞かない自分の世界に入った。絵を描く時や、嫌な事の時に使うが、最近では絵を描く時だけだった。 「ドク」と聞こえが、空耳だと思った。 「待ったか」と、大ちゃんが肩を抱いてきて、はっと我に返って、ホッとしたせいか、笑顔が出た。大ちゃんの顔を見たら、赤くなっていて肩を抱いたまま歩き出した。  この数日後、大きな地震が僕の育った町を襲った、お母さんに連絡したら、内陸の方は大丈夫だと、僕の方を逆に心配された。
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