2話 ブラック爆誕

6/7
前へ
/314ページ
次へ
「あれは……!」  娘のカレンの護衛官であるエヴァンが前方からやって来る。  サラサラの銀髪に、大きくて優しそうな目。瞳は透き通った紫色をしている。  容姿、スタイルが抜群に良く、年頃の女子に大人気。もちろん、剣の腕も家柄だって一流だ。  よって、カレンの婚約者だった。  だけども、その婚約を不本意に思っていた前フローラは、エヴァンを避けるようにして過ごしていた。自信家でチャラチャラと女の子と話す態度が気に入らない。彼の父親にいたっては、大嫌いだった。 「おっと!」  フローラは、道からそれて、木陰に身を隠した。  別に隠れる必要はないのだが、変身後のフローラは誰にも顔を知られていない。エヴァンに捕まってしまうと侵入者になってしまう。 (早くブラックの設定を考えなきゃ……) 「ん? さっき、誰かいたような……?」  エヴァンは怪訝そうな顔をして、その場に立ち止まった。 「賊じゃないといいのだが?」  周囲を探し始めるエヴァンに、フローラは肝を冷やした。  木陰に隠れているなんて、完全に賊だ。
/314ページ

最初のコメントを投稿しよう!

101人が本棚に入れています
本棚に追加