101人が本棚に入れています
本棚に追加
「あれは……!」
娘のカレンの護衛官であるエヴァンが前方からやって来る。
サラサラの銀髪に、大きくて優しそうな目。瞳は透き通った紫色をしている。
容姿、スタイルが抜群に良く、年頃の女子に大人気。もちろん、剣の腕も家柄だって一流だ。
よって、カレンの婚約者だった。
だけども、その婚約を不本意に思っていた前フローラは、エヴァンを避けるようにして過ごしていた。自信家でチャラチャラと女の子と話す態度が気に入らない。彼の父親にいたっては、大嫌いだった。
「おっと!」
フローラは、道からそれて、木陰に身を隠した。
別に隠れる必要はないのだが、変身後のフローラは誰にも顔を知られていない。エヴァンに捕まってしまうと侵入者になってしまう。
(早くブラックの設定を考えなきゃ……)
「ん? さっき、誰かいたような……?」
エヴァンは怪訝そうな顔をして、その場に立ち止まった。
「賊じゃないといいのだが?」
周囲を探し始めるエヴァンに、フローラは肝を冷やした。
木陰に隠れているなんて、完全に賊だ。
最初のコメントを投稿しよう!