1話 厚かましいんだよ!

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「──はっ! 」   気がついた時、目の前にぼんやりと人の顔があった。 (ひいいぃ!)  だが、その人は動かない。 (?) 「絵画……?」  どうやら天井に描かれている天使の絵のようだ。 「天蓋つきのベッド?」  美咲はベッドに寝ていた。それも広くてふかふかのベッドに。 「どこ? ここ?」  薄暗いが、西洋のお屋敷のような、ゴテゴテした装飾がされた豪華な家具が並んだ部屋だった。 (どこの病院? 高そうな個室。早く出してもらわなきゃ) 「あ、気が付いた?」  天蓋の方から子どもの声がした。 (へっ!?)  振り向いた美咲は、天蓋に描かれた絵画から天使が飛び出てくる瞬間を目撃した。 (──!?)  そしては、含みを持った、怪しげな笑みを浮かべながら、美咲の前に飛んできた! 「ひぃぃぃぃ!! お化け!!! 南無阿弥陀仏!!!!!」  見た目は天使なのだが、笑顔が怖い。きっと、天使に化けたお化けだ!  美咲は布団をかぶってお化けをやり過ごそうとした。 「南妙法蓮華経! 臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」 「効かないよ」  お化けが笑いながら言う。 「何でだよ! 消えろよぉ!」 「黒田美咲さん、ちょっと頼みごとがあるんだけれど」 「断る!」 「頼みます。厚かましく、図々しい、あなたの魂がぴったりなんです。お願いします」 「断る!」 「これを差し上げますので、お願いします」 「断る!」 「美少女に変身できるアイテムです。お願いします」 (美少女!?)  美咲はピクリと反応した。 「変身すると強くなれます。敵を倒す力を得ます。ストレス発散できますよ」 (強くなる!?)  ──それってアレ!?
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