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「──はっ! 」
気がついた時、目の前にぼんやりと人の顔があった。
(ひいいぃ!)
だが、その人は動かない。
(?)
「絵画……?」
どうやら天井に描かれている天使の絵のようだ。
「天蓋つきのベッド?」
美咲はベッドに寝ていた。それも広くてふかふかのベッドに。
「どこ? ここ?」
薄暗いが、西洋のお屋敷のような、ゴテゴテした装飾がされた豪華な家具が並んだ部屋だった。
(どこの病院? 高そうな個室。早く出してもらわなきゃ)
「あ、気が付いた?」
天蓋の方から子どもの声がした。
(へっ!?)
振り向いた美咲は、天蓋に描かれた絵画から天使が飛び出てくる瞬間を目撃した。
(──!?)
そしてそれは、含みを持った、怪しげな笑みを浮かべながら、美咲の前に飛んできた!
「ひぃぃぃぃ!! お化け!!! 南無阿弥陀仏!!!!!」
見た目は天使なのだが、笑顔が怖い。きっと、天使に化けたお化けだ!
美咲は布団をかぶってお化けをやり過ごそうとした。
「南妙法蓮華経! 臨・兵・闘・者・皆・陣・列・在・前!」
「効かないよ」
お化けが笑いながら言う。
「何でだよ! 消えろよぉ!」
「黒田美咲さん、ちょっと頼みごとがあるんだけれど」
「断る!」
「頼みます。厚かましく、図々しい、あなたの魂がぴったりなんです。お願いします」
「断る!」
「これを差し上げますので、お願いします」
「断る!」
「美少女に変身できるアイテムです。お願いします」
(美少女!?)
美咲はピクリと反応した。
「変身すると強くなれます。敵を倒す力を得ます。ストレス発散できますよ」
(強くなる!?)
──それってアレ!?
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