1話 厚かましいんだよ!

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「プリ○ュアみたいな?」 「そうです。好きでしょ? そういうの。調査済みです」  ……。 (このお化けはプ○キュア知ってんの?)  美咲は月世代だが、やんちゃな姪っ子が初代のプリキ○ア好きで、よく一緒に見ていた。  拳で戦うのカッコいい。スッキリする。  女の子(ババア)だって悪い奴らをボコボコにしてストレス発散したい! (──○リキュアになれるの!?)  美咲は布団から顔を出して、天使のお化けを見た。プリ○ュアになれるアイテムをくれるのならば、このお化けは妖精かもしれない。それに、よく見ると天使みたいに純粋そうな顔をしている。 「いや、でもババアだしなぁ。足出せないし、体力ないし、めんどいし、要らね」 「逆に若返ります」 (──!? それもそうか!) 「どうです? 頼みを聞いてくれた後もずっと使ってていいです。死ぬ間際に返してもらえば」  お化けの手のひらには、ラブリーなデザインのハートのペンダント。中央には虹色に輝く宝石が埋め込まれている。 (おもちゃかよ……) 「仲間は!? 二人? それとも五人ほど?」 「いないよ」 「ソロかよ……」 「それに、きみは王族に転生できるよ。いいでしょ? 豪華な暮らしが待ってるよ」  お化けはにこにこして言った。 「は!? あんな常に人目にさらされて、やることなすこと監視されて、くっそ重い責務を背負わされて、何が贅沢だ! 一日中、ゴロゴロしてても怒られないパンピーが一番なんだよ! だから断る! ん? 転生!?」  流行りすぎてお腹いっぱいのやつ。どこかの世界の美少女に生まれ変わるやつ。 「チッ! うっせーな、やれよ、ババア」  可愛い天使の顔をしたお化けが急にやさぐれた。眉を吊り上げ、口を歪ませている。    「バッ、ババア!?」  確かにそうだけど、お化けに言われたくない。美咲は、負けじとお化けを睨んだ。 「それに、もうおせーんだよ」 (──こいつ、DQN (ドキュン)!?) 「破格の待遇を示してやったんだ。やれ。可哀想な王太后の魂を助けてやれ。彼女の本懐をお前が遂げるんだ。そうすれば彼女も浮かばれる。分かったな? また俺も様子を見に行くからな。つべこべ言わず、やれよ。じゃあな」  天使のお化けは捨て台詞を吐いて、天蓋の絵画の中に消えていった。 「は? なにあいつ。エラそうに」
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