95人が本棚に入れています
本棚に追加
/314ページ
ペンダントを手に取り、ドレッサーの前に立つ。
(どうやって使うのかな?)
アニメとかでよくあるやり方で変身できるのだろうか?
(よ、よしっ……!)
フローラはペンダントを握りしめ、天高く掲げた。
「プリティー、キュートな美少女にメタモルフォーゼ!!」
言い終わると、ハートの宝石から虹色の光が出てフローラを包んだ。
(──!?)
「おっ!?」
光が収まったので、フローラは鏡を覗いた。
そこには、若返ったフローラがいた。
二十歳くらいだろうか。肌はぷりぷり、髪は艶々。体の贅肉もなくなっている。
「ヒャッハー!!」
フローラは両手を上げて飛び上がった。飛び上がってもしんどくない。お肉が揺れない! 身体は若者、中身はババア!
「すごい! でも……なんで?」
服はなぜかメイド服だった。
(?)
「一応のコスチュームだ。コソコソしたいとき動きやすいだろ?」
「なるほど」
メイド服は黒なので、キュ○ブラックになったみたいでちょっと嬉しい。
「あ、そうだ。ババア。無言で変身したいと思えばいい。変身を解く時もだ。あんな恥ずかしいセリフ、良く言えたな(笑)」
「早く言えよ!」
「武器は? ラブリーなステッキとかないの? 必殺技はないの」
キュ○ブラックなら必要ないけれど、どうせならラブリーなのが欲しい。
「ない」
「えー」
「戦いたいならその辺の剣とかを使え。つまり己の拳で勝負しろ」
「拳……」
フローラはゴクリと唾をのんだ。拳とな!?
それは……やはり……!
「キュアブラ……」
「心配するな、その辺の手練れよりババアの方が強い。俺からのサプライズだ」
「ほほう。ってか、あんた誰?」
「俺は天使だ」
(は? 天使!? 姿は天使だけれど、悪魔の間違いでしょ……。まぁ、どっちでもいいや)
「さ、寝よ」
早く寝ないと明日に障る。徹夜なんてもっての他。寝不足はババアの敵!
「おい! 無視かよ、ババア!」
変身を解いたフローラはふかふかのベッド横たわり、目を閉じた。
「おい! ババア!」
(うるせぇ……)
最初のコメントを投稿しよう!