2話 ブラック爆誕

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 ペンダントを手に取り、ドレッサーの前に立つ。 (どうやって使うのかな?)  アニメとかでよくあるやり方で変身できるのだろうか? (よ、よしっ……!)  フローラはペンダントを握りしめ、天高く掲げた。 「プリティー、キュートな美少女にメタモルフォーゼ!!」  言い終わると、ハートの宝石から虹色の光が出てフローラを包んだ。 (──!?) 「おっ!?」  光が収まったので、フローラは鏡を覗いた。  そこには、若返ったフローラがいた。  二十歳くらいだろうか。肌はぷりぷり、髪は艶々。体の贅肉もなくなっている。 「ヒャッハー!!」  フローラは両手を上げて飛び上がった。飛び上がってもしんどくない。お肉が揺れない! 身体は若者、中身はババア! 「すごい! でも……なんで?」  服はなぜかメイド服だった。 (?) 「一応のコスチュームだ。コソコソしたいとき動きやすいだろ?」 「なるほど」  メイド服は黒なので、キュ○ブラックになったみたいでちょっと嬉しい。 「あ、そうだ。ババア。無言で変身したいと思えばいい。変身を解く時もだ。あんな恥ずかしいセリフ、良く言えたな(笑)」 「早く言えよ!」 「武器は? ラブリーなステッキとかないの? 必殺技はないの」  キュ○ブラックなら必要ないけれど、どうせならラブリーなのが欲しい。 「ない」 「えー」 「戦いたいならその辺の剣とかを使え。つまり己の拳で勝負しろ」 「拳……」  フローラはゴクリと唾をのんだ。拳とな!? それは……やはり……! 「キュアブラ……」 「心配するな、その辺の手練れよりババアの方が強い。俺からのサプライズだ」 「ほほう。ってか、あんた誰?」 「俺は天使だ」 (は? 天使!? 姿は天使だけれど、悪魔の間違いでしょ……。まぁ、どっちでもいいや) 「さ、寝よ」  早く寝ないと明日に障る。徹夜なんてもっての他。寝不足はババアの敵! 「おい! 無視かよ、ババア!」  変身を解いたフローラはふかふかのベッド横たわり、目を閉じた。 「おい! ババア!」 (うるせぇ……)
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