【Next step study zero:clinical education of love ~鬼指導教官じゃなくなった人に・・・】

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「ちょっと今、いいかな。」 臨床実習終了後、国家試験勉強で同じグループになった坂上くん。 同じグループになる前は全然話をしたことがなかった人。 でも、一緒に勉強を進めていくうちに、話す機会が増えて、資料を集めに行った図書館の帰り道で一緒にご飯を食べたりもしたことがあった。 『あっ、絵里奈と今、校門で写真を撮ろうとしていたところ・・・で・・・』 絵里奈は卒業式の翌日、つまり明日、就職予定の岐阜市内の大学病院で行われる入職オリエンテーションに参加するために、この後、行われる謝恩会の前に一度自宅に戻ってその準備をするって言ってた。 だから、早く写真を撮って、すぐにでも自宅へ向かわせてあげようとしていた。 「真緒、いいよ。また謝恩会でも写真取れるし。坂上くん、真緒、今なら貸してあげる!」 絵里奈はニヤニヤしながら、さあどうぞ!とあたしを差し出し、袴姿お構いなしに軽快にスキップしてあたし達の視界から消えた。 絵里奈は、同じグループで勉強していた坂上くんとあたしが恋仲になってるってずっと疑っている 実習終了時は、岡崎先生を好きって想い続けてもいいなんて励ましてくれたけど、もう会えない岡崎先生とあたしがどうにかなるとは、さすがの絵里奈も思っていないらしく・・・ 時には、“坂上くん、いいじゃん。頼めばなんでもしてくれるし、優しいし、好青年!”と近所のおせっかいおばさんみたいに激推ししてみたり。 多分、謝恩会で容赦なく、これからの状況を事情聴取されるだろう 「神林さん、あの・・・」 『あ、はい・・・』 ちょっと緊張気味にあたしの名を呼んで、語りかけようとしている坂上くん。 その緊張があたしまで伝染してしまい、それをどうにかしようとあたしは持っていた卒業証書を両腕でぐっと抱え込む。
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