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既視感?!
過去にこういうこと2度あったよ
“スキとか言うなよ”ってフライング口止めの言葉を聞かされるのを・・・
まさか、ここ高山だから、そういうズルイ言葉をさらっと言ってしまうあの人はいないはず
「神林さん、この人・・・」
『えっと、この人は・・・』
現実か、デジャビュなのかわからずに混乱しているあたし
そんなあたしは左手を強引に引っ張られ、その薬指に何かをはめ込まれた感触を認識して、もっと混乱状態。
その中で聞こえてきた、あたしの胸が疼く声。
「真緒、今だ。」
『はっ?』
今だという声によって、さっきあたしの左手薬指に感じた違和感を想い出し、すぐさま自分の左手薬指を見た。
その違和感は、見たことのある桜の花びら模様の熱可塑性プラスチックで作られているものによるもの。
でも、それは去年、好きな人から嵌めてもらったスワンネック指変形矯正用スプリントではなく、小さくて丸い指輪。
細長く切られた何本かのプラスチックをクリスマスリースのように丁寧に編みこんで円形にしてあるそれ。
それがあたしの左手薬指の根元に嵌っている。
「たったひとつの、お前の大切な好きという想いを、去年選べなかった想いを今、選べ。」
『・・・・・・』
「たったひとつだろ?・・・お前は絶対に間違えないし、俺はできない人間には求めない。できる人間にしか求めない。だから、ほら!」
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