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『やっほー、ノブくん。元気?』
画面の向こうから、彼女の声が聞こえる。この声を聞くと、僕はいつでもあの頃に戻ってしまう。
彼女──せれなは、僕の友人だ。まだ僕らが幼い子供だった頃、彼女は僕の隣にいた。当然のように僕らは親しくなり、よく一緒に遊んだり勉強したりしていたものだ。
今は遠く離れてしまっているけど、こうやって時々画面越しに声を聞いている。いくつになっても「ノブくん」「せれな」と呼び合う、気のおけない友人。少なくとも、彼女は今でもそう思ってるんじゃないかと信じたい。時が経って、僕がどんなに変わってしまっても。
「せれな、今、何処にいるの?」
せれなは微笑む。画面の中で。
『月だよ』
と、せれなは答えた。
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