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エピローグ
「あなたはかなえさんを妻とし、健やかなるときも病めるときも生涯の伴侶として添い遂げ、愛し抜くことを違いますか?」
「はい。誓います!」
翌年の6月、教会のステンドグラスから漏れる七色の光に包まれる中で晃彦は神父に向かってそう誓った。
「では、誓いの口づけを」
神父に促され、かなえが身につけているヴェールを手に取る。2つの唇が重なり合ったその瞬間、割れんばかりの拍手が鳴り響いた。
式場を出た2人にライスシャワーが浴びせられる。ライスシャワーをかける招待客の中には当然、直哉の姿があった。
「結婚おめでとう」
「ありがとう。本当に色々と世話になったな」
「忘れるなよ。生ビールの約束」
「勿論、忘れるわけがないだろ」
晃彦はそう告げると、右手の親指を立ててみせた。
「生ビールの約束って、何?」
かなえが不思議そうな面持ちを浮かべながら尋ねた。
「まぁ、男同士の友情、ってやつかな?」
晃彦が答えると
「そうなの?何だか素敵な話ね」
かなえはそう言って微笑んだ。
「さぁ、そろそろだな」
「うん」
かなえは晃彦に向かって頷き、両手を振り上げた。雲一つない満天の青空に向かって、真っ白なブーケが高々と飛び上がっていった。
【終】
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