手のひらの…

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私が生まれた家は、三代くらい時代がズレているんじゃないかと思える家だった。 親に従い、嫁いで夫に従い、老いては子に従う。 幼い頃からそう教えられ、運転手付きの車で通学し門限は午後5時。 そこまでは、当たり前だと思っていたが、父の事業の支援をしてくれるという父より年上の老人のもとへ大学卒業と同時に嫁げと言われ、さすがに抵抗した。 それでも何も変わらないと分かった私が、いままで貯めたお小遣いと少しの着替えを持ち、家を抜け出してから3ヶ月。 やっと見つけた居酒屋のアルバイトとそこの店長の紹介でアパートを借りられたのだが、最近どうも実家の雇った人らしい男が私を探っていると気がついた。 夜逃げしようかと調べていて、偶然見つけたレンタルパパ。 最初はパパ活かと訝しんだが、純粋にパパに甘えたいけどもうできない人や結婚式のパパ代わりなど需要は結構あるらしい。 パパとして派遣された加藤さんは、売れない俳優さんらしいが私の希望を聞いて、見事になり切ってくれた。 次はレンタル彼氏で故郷から父親が亡くなったことを聞いて、訪ねてきた幼なじみという役を頼もうかな。   現金の手持ちは少ないけど、私にはこれがあるし。 私はレンタルパパの支払いをした父親名義の家族カードを見ながら、私はこれからの事を色々考えるのだった。 終
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