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僕の母は頭がおかしい。ペットボトルを100個ほど家に溜め込むし、トイレットペーパーの芯で飼い鳥の家を製作しようとするタイプの人間だ。ベランダで大根を育てようとして、全て青虫に食われた日には、母は泣いていた。
かくいう僕は、彼女の奇行の被害者第一号に抜擢されることが多い。
肥料集めに駆り出され、ペットボトルを1つでも捨てようとものなら雷が落とされ、トイレットペーパーの芯は僕も趣味で溜め込んだ。
あくる日、母がカフェオレを飲んでいた。僕はコーヒーが大好きだ。お馬鹿な僕はテスト前に一夜漬けをするタイプだったので、徹夜にカフェインは必須だった。
なので、中坊だった僕は夜中にカフェオレを優雅に嗜む母に、「よこせぇぇぇぇ!!」と、鬼気迫る勢いで一口ねだった。
母は僕にコップを渡してくれたので、僕は早速一口飲んだ。
「オロロロロロロロロ!!」
僕は盛大にむせて、口から液体を吐き出した。これは、これは……! カフェオレではない! これは……!!
驚愕に打ち震える僕に、母はゲラゲラ笑いながら言った。
「それ、焼酎のカフェオレ割り」
何ということだ……! 焼酎を? 梅でも水でも氷でもなく、カフェオレで割る……? ありえない!! 僕は焼酎など飲める歳ではないし、ましてや酒など嫌いだった。しかし母への宣戦布告を決意した。これは焼酎への冒涜だ! それ以外の何者でもない!!
「母さん! 何でこんなひどい飲み方をするんだ!?」
僕は母に詰め寄った。しかし母はどこ吹く風と僕を無視して焼酎カフェオレ割りを飲み干すと、コップに新しい焼酎を注いだ。そして……、
オレンジジュースで割った。
あれから年月が経ち、僕は大人になった。そんな僕は今、ウイスキーをアクエリアスで割って飲んでいる。
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