3#レンタルギツネの私を救った思わぬ救世主

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 「キツネちゃんだ!リボン可愛い!!ありがとうございます!!」  私を借りたのは、若い女性だった。  「契約書類に目を通して判子お願いしまーす!!」  「はーい!!」  今度はドタキャンされずに済んだわ。  しっかし、この契約書類一枚が私の命と同様だなんて、このアニマルレンタル屋には舐められたもんだわ。  「はい、どうもありがとうございま~す!!」  バタン!  「さてと・・・」  私を借りた若い女性は、私の入ったキャリングゲージを開けるとこう言ってきた。  「可哀想に・・・こんなに汚れた状態で借りられるなんて・・・酷い場所だわ。」  キャリングゲージの中で怯えて威嚇してた私は、とたんに胸を撫で下ろした。  何故なら、わたしを見詰めるその若い女性の顔は何だか悲しげだったからだ。  「ねぇ、キツネちゃん!!その汚れた身体、綺麗にしてあげるね!!」  若い女性はわたしをゴム手袋で優しく抱き抱えると、洗面所で犬用シャンプーで私の身体をゴシゴシと満遍なく洗った。  気持ちいい・・・この気持ちは初めてだわ。  あのレンタルアニマル屋は何もしてくれずに、私の糞尿の中で汚れた身体に耐えて過ごしてたんだから!!  快適だわ。  こんなにリラックス出来た事は無かったわ。  フカフカの猫用ベッドでくつろいで満身創痍で居られるのは、産まれて初めてだわ。  私は眠りこけた。  ぐっすりと、深い眠りに。  私は夢を見ていた。それは、本来の私の居場所・・・  目の前に遥かに拡がる草原。  歌うように生い茂る草花。  リスやシカが駆け巡り、小鳥達が、私の周りを飛んでいる。  皆、自由に謳歌している。  ・・・・・・ここはどこ?  私は目が覚めた。  夢が覚めた筈が、まだ覚めてないみたい。  いや、これは正夢!!正真正銘のわたしの本来の!!居場所!!本来の生きていく場所!!  耳に、体に、尻尾に、爽やかな微風が撫でてくる。  鼻の孔に、土の匂いを胸一杯に吸い込んだ。  これは、自由・・・  目の前に拡がる本当の自由・・・!!  わたしは駆け巡った。  目を見開いて、この喜びのままに何処までも。  
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