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日に焼けた肩が、服に擦れる度に痛いけど、それも嬉しいのは、源来君との思い出がまた増えたから。
一緒の時間を刻んだ証拠は、この真っ赤に焼けた肩。
源来君は日焼けの痕を見ても何とも思わないだろうけど、私はニヤニヤが止まらない。
日焼けが熱くて眠れないのか、恋が熱くて眠れないのか分からないけど、私は何度もベッドで寝がえりをうつ。
目を閉じても、開いていても、私の目には源来君の色んな笑顔が映し出される。
体中に貯めたニヤニヤを逃がすように、深くため息をつくと、心の奥の方からキューンと切ない何かが広がっていく。
その切なさも体の外へ逃がしたくて、もう一度ため息をついたら、また源来君が笑顔で私に笑いかけた。
一目惚れとか、運命の出会いとか、そんなドラマチックなきっかけなんて無かった。恋に落ちた瞬間なんて味わってない。でも、ゆっくりゆっくり好きになった。
最初は、紗都里の友達で、ゆず君の友達で。クラスも違ったから初めて源来君を単体で認識したのは、1年の体育祭でのリレーで最下位から2位まで追い上げる姿だった。違うクラスなのに、紗都里と顔を見合させて「スゴイ!スゴイ!」って興奮した。
2年で同じクラスになった文化祭。合唱コンクールでクラスが1位になって、みんなでハイタッチで大喜びした中に源来君もいて、バチッって、気持ちいいくらい綺麗にハイタッチが決まって。その時、間近に見上げた顔いっぱいの笑顔と、大きくて力強い手に、ドキッとした。
その辺りから、自分の視線が源来君の声や名前に反応して、気が付けば姿を探していたし。源来君が女子と話したり、笑い合ってるのを見かけると、心がザワって揺れた。
私の視線が源来君を追いかければ追いかけるほど、心がザワザワ揺れれば揺れるほど、源来君と話せなくなって、目が見れなくなった。
見たいけど、見られたくない。
話したいけど、話しかけられたくは無い。
優しくしてほしいけど、私以外の女子に優しくしないで欲しい。
勝手な願望で胸が苦しくなった時。好きなんだって、分かった。
恋をしているんだって。
源来君の笑顔が好き。
楽しそうに大きな口を開けて笑う顔。
ニヤニヤと口を閉じて笑みを漏らす顔。
キュッと口角を上げて微笑む顔。
源来君の笑顔を見ると、太陽が当たるみたいに、体の中がじんわりと温かくなってくる。
源来君の笑い声を聞くと、心がスキップするみたいに浮かれてくる。
源来君の手も好き。
日に焼けた細くて長い指。
薄いけどしっかり受け止めてくれる掌。
大きくて筋張っている温かい手。
源来君に触れられると、そこが熱を持って熱くなる。
源来君に手を差し出されると、呼吸が止まる。
源来君を知れば知るほど、話せば話すほど、もっと知りたくなって、もっと話したくなる。
この夏、急激に近づき過ぎて、心が麻痺してきたのかな?
源来君が優しいから、信じられない位バカな期待が何度も浮かぶ。
私の事、好きになってくれないかな?
そんな事、望むだけ虚しいのに。麻痺した心が勝手に、私の恋を暴走させようとする。
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