骨、混じる

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 イテッ。  目の前に座っている兄の声に、僕は顔を上げた。 「また骨が刺さった。何なんだよ」  兄が悪態を吐きながら口に指を突っ込む。 「しょうがないでしょ。魚なんだから。骨があって当たり前よ」  母が呆れ混じりに笑う。 「でもさ、明らかにおかしくね? 俺ばっか魚の骨が刺さるじゃんか。それも一回や二回じゃない」 「そんなの知らないわよ。ちゃんと見てから食べれば良いじゃない」 「ちゃんと見てるよ! 俺はこいつみたいに間抜けじゃない」  何故か僕を睨む兄。矛先を向けられた僕は、ただただ萎縮する。  ここで反論すれば、後で酷い目に遭わされるからだ。 「人のせいにしないの」  母が怒る。心の中で僕は言う。  ざまーみろ。
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