4人が本棚に入れています
本棚に追加
イテッ。
兄の声に僕は顔を上げる。
「何でご飯に骨が混じってんだよ」
怒る兄に母は、「何言ってんの。そんなわけないでしょ」と逆に怒る。
「見てよ。入ってんじゃん」
兄が口から出した骨を母に見せる。
「行儀悪いからやめなさい」
「――だって」
「うるさい! 静かに食事できないのか」
言い訳を遮るように父が怒鳴る。
さすがに父が怖いのか、兄は不服そうな顔で黙る。
それから何故か僕を睨む。
僕は兄を見ないようにする。また兄がイテッと声を上げた。
だけど文句は言わなかった。
最初のコメントを投稿しよう!