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「ねーねー、長谷部くん! ココと付き合ってんの?」 「いやいや。ただの友達だよ」  心葉の友達の夏海(なつみ)が揶揄うように訊いて来る。彼女がよく話してる『なっちゃん』だ。  このバイトも、今日がもう十日目になる。  いつも一緒に帰るのはもちろん、学内でも話すことが多いからな。取ってる講義が違うから終わる時間も同じとは限らないし、待ち合わせの関係とかで。  メッセージでもいいのに、心葉は直接やり取りしたがる。上品なご家庭には、俺にはわかんない常識みたいなのあんのかな。  だから周りから見たら誤解されてもしょーがないか。  でもこれはきっちり否定しとかないと。『バイト』が終わってから、心葉が誰かとホントに付き合うときに邪魔にならないように。 「なーんだ。ようやくココにも春が来たかと思ったのになぁ。でもまあ、違ったとしてもココが楽しそうだからいいや。……ありがとね」 「何が?」  彼女の礼の意味が理解できなくて尋ねた俺に、夏海が真顔になった。
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