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「あなたは僕と結婚するんですよ? 一体どういうおつもりですか?」
「お見合い、はしますけど。結婚するなんて決まってません」
訊かれて小声でボソボソと呟くように反論する彼女に、三沢って男が笑う。
こういうの、冷笑っていうのか? 感じ悪いな。
「そんなこと言っていいんですか? ──まあでも、本当に交際相手がいるようなふしだらな人なら願い下げですけど。『本当なら』ね」
思わせ振りな台詞。なんだ、コイツ。
「本当、です」
「ココ、心葉は俺と付き合ってます。恋人なんです!」
心葉のか細い声に、俺は思わず二人の間に割って入った。
やっちゃったかもしれない。もしかしたら、これで彼女の家に不利になったりする?
いまさら内心焦る俺の腕を、心葉がぎゅっと掴んだ。
「ふぅん。まあ僕にとっても一生の問題ですから、もう少し確かめさせていただきますよ」
意味深な笑みを浮かべて片手をひらひらさせながら去って行く男。
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