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【1】
「長谷部くん、ちょっと話があるんだけどいい?」
大学の講義が終わった後、帰ろうとしてた俺に話し掛けて来た同じ学部の女の子。
「えっと、尾崎さん?」
「……もしかして覚えてくれてないの? 去年一年間一緒だったのに」
つい口籠った俺に、彼女は少し残念そうな表情を向けて来る。
「いや、覚えてるよ。当たり前じゃん!」
俺は慌てて言い繕った。本当に、しっかり覚えてるって!
尾崎 心葉。
おとなしくてあんまり目立たないけど、よく見るとすごく整った綺麗な顔してる。
……それに気づいたのはいつだったか。
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