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「あのね、長谷部くん。アルバイトしない?」
二人で向かった学生ラウンジの隅の席に落ち着いてすぐ、彼女がいきなり切り出した。
確かに俺は常に金欠だ。
友達にもよく愚痴ってるし、この子が知ってて小遣い稼ぎを持ち掛けて来ても別に不思議じゃない、けど。
「私の『彼氏のフリ』して欲しいのよ。いいかな?」
「それだけじゃ何とも返事できないんだけど」
あまりにもざっくりしすぎた依頼に、判断のしようがなくて俺は正直に答える。
「……そうよね。じゃあ詳しく話すから聞いてくれる?」
「いいよ」
少し考えてから口を開いた心葉に返した。
「実は私、今度お見合いするの」
「は⁉ み、見合い、って。まだ十九だろ? あ、もし二十歳になってたとしても早すぎない?」
誕生日早かったらもう二十歳だけど、それにしてもさぁ。
俺たち大学二年だぞ!? 驚きのあまり声がひっくり返った。
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