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「あの、俊樹くん。今日はお食事に行かない? いい……?」 「いいよ、何食う?」  心葉に依頼された『彼氏のフリ』バイトを始めて三日目だった。  おずおずと提案する彼女にあっさりOKする。  俺は大学の寮暮らしの貧乏学生だから、「経費」のメシなんてありがたい限りなんだ。食事付きじゃないから共同の自炊設備はあるけど、一人分作るのって手間以前に意外と金掛かるしさ。  ……金がないと、心まで貧しくなりそうだよ。だって食べるもんで身体だけじゃなくて気分も変わるじゃん? 「えっと、お友達(なっちゃん)に教えてもらったんだけどシェアのお店なんだって。そういうの嫌じゃない?」 「いや、全然。そんな繊細じゃないし、俺。特に好き嫌いもないしな。あんまり気の張るとこはちょっとだけど、シェアなら気楽なんだろ」 「うん! 学生でも気軽に行けるとこらしいから。大丈夫だと思う」  彼女に連れられて行った店は明るくて、でも適度に落ち着いてて、すごくいい雰囲気だった。  聞いたとおり、客の年齢層はそんな高くない。「大学生や若い社会人のデート用」って感じ?
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