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赤い表紙のノート
朝顔の観察日記をつけよう。
きっかけは今日、友だちの奈々ちゃんと行った文房具屋さんで見付けた1冊のノート。真紅と呼べばいいのかな。深い赤色の表紙に目を引かれて手に取ると、まるで図書室の棚に並ぶ本のように厚くてしっかりとした表紙が妙に手に馴染んだ。よく見ると真ん中に小さく花の絵があり、触るとその形に膨らんでいる。
「佳乃ちゃん、それ買うの?」
奈々ちゃんの声に思わずうん、と頷いていた。そうしてから『あれ? わたし、買うの?』なんて考えが追いついてくる。だって学校で使うノートは5冊いくらのまとめ買いのもの。このノートは1冊で450円もする。何に使うんだろう、わたし。思わず自分で呆れてしまう。
でも――。
もう一度ノートに目を落とすと、やっぱり素敵だと、わたしの心がそう言っている。棚に戻すなんて嫌だと、わたしの手はノートを持ったまま動かない。
結局ドキドキしながらわたしはレジに向かい、450円と交換にノートを手に入れた。
『買っちゃった』
ノートの入った袋を胸に抱き、妙な達成感にわたしはふふっと微笑んだ。
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