観察日記

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観察日記

 家に帰るとお母さんが花壇の植え替えをしていた。   「おかえり、佳乃子」 「ただいま、お母さん」    花好きなお母さんのおかげで、家の庭はいつも色とりどりの季節の花で賑わっていた。広いわけではないけれど、自慢の庭だと思っている。  今もテキパキと動くお母さんの手を眺めながら、ふと思いついた。   「ねぇ、お母さん。わたしも何か育てたい」    あのノートを観察日記にするのはどうだろう。お花の絵もついているし、ぴったりじゃない?   「あら。佳乃子も花に興味でてきたの?……そうねぇ、それじゃあ朝顔なんてどうかしら。あなた、小学生のときは枯らしてしまったでしょう?」    思い出してつい苦い顔になってしまう。それはわたしが小学2年生のとき、夏休みの宿題で朝顔の観察日記をつける、というものがあった。しかし夏休みの開放感にうっかり寝坊を続けたわたしは結局花が咲いたところを見逃してしまったのだった。  夏休みが終わり、花の絵のないままの観察日記を気まずい思いで提出したのをよく覚えている。    だけど、だからこそ、今度こそきちんと書きたかった。あのノートに恥じないように。さぁ決まりだ、朝顔の観察日記を始めよう。
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