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「分かってる、勝手だよな。でも、もうこれ以上君が悪さをするのを許す訳には行かないんだ」
「悪さ...?私はそんなことしてない!」
「いや、君は分かっているはずだ。その強い感情を人々にぶつけると、君のその怨念が悪影響を及ぼし、その人の命を奪ってしまうことを」
「っ...!」
「もう、こんなところにいなくていいんだよ」
丞がそう言うと、涙を浮かべながら更に丞を睨んだ。
「私は、死にたくなかった...!」
「うん」
「なのに、大人達は勝手に私の未来を奪った!」
「うん」
「それもこれも、全部あんた達のせいでしょ?!神なんて何もしてくれない!ただ、貢がれ崇め奉られるだけじゃない!」
「...まぁ、そう思われても不思議はないよな」
丞はそう言うと、チラッと天を仰いだ。
「私は、誰かを犠牲にして自分の幸せを手に入れたこの帯水の人達が憎い...!そして、その誰よりも助けてくれなかった神が憎い!」
「...うん」
「だから...!」
彼女の目から、大粒の涙が溢れ出た。
嗚咽が境内に響き渡る。
日中見た、今を生きる巫女の彼女たちと、未来を奪われた茉莉の姿が脳裏で重なり、丞は胸が締め付けられた。
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