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丞がそう言うと、茉莉は力が抜けたように膝から崩れ落ちた。
そんな茉莉を支えながら、ぎゅっと抱きしめて丞は言った。
「神々は、人々の願いの象徴のようなものなんだ。人々が強く願い、それを実現させるのは神々ではなく、人々の力なんだよ」
「そんな...!じゃあ、私はなんのために死んだの?」
「それは...」
(こういう時に、話しかけてくれたらいいのに...)
天の先にいる主を仰ぎ見て、そっとため息をつく。
「人々はよく、雑念が多くなるだろ?『こうしたい!』って思っても、『でも自分には無理なんじゃないか』って考えてみたり。『あの人には敵わない』とか、『きっと自分は叶えられない』って諦めてしまうこともある。そうしたものを抱え続けると、願いを叶えるための純粋な願いは、霞んできてしまうんだ」
「でも、君のような存在で人々は願いをひとつにすることが出来る。皮肉にも、何かの象徴があった方が、人々は願いを強く持ち続けることができるんだ」
ぐったりと身を任せながら、茉莉は静かに丞の言葉を聞いていた。
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